桜の春挿し リベンジ

桜の春挿し 2018年編

これまでに桜を増やすためのクローニング(栄養増殖)の方法を何度か紹介してきた。
その必然性と経緯についてはそれぞれの投稿を参照してもらうとして、今回はいきなり本題に入らせていただく。
それは、桜の春挿し(休眠枝挿し)の再挑戦である。
2017年に行った春挿しが失敗に終わったことは先にお伝えした通り。
それが品種的なものなのか、やり方に問題があったのか、要因を探るのが今回の目的である。

今回の作業のあらまし

桜の枝の採取と保存

挿し木を行うためにはまず枝を採取する必要がある。
春挿しの適期は関東地方以西を基準として3月上旬ごろ、芽が動き出す前となる。
その1カ月前の2月上旬。桜の活動が始まる前に休眠中の枝を採取する。
挿し木には去年伸びたばかりの樹齢1年に満たない枝を使う。
花芽ではなく葉芽の付いた枝を選ばなくてはならないが、2月上旬の花芽はまだ膨らんでいないので葉芽と見分けるのは一見難しい。そこで枝の生え方からおおよその判断をつける。
桜の花芽は『一昨年に伸びた枝から生える短い枝』に良く付いているので、その逆の『去年伸びたばかりの長い枝』を目安にする。
今回用意したのは枝垂桜、大島桜、染井吉野の3種類。
枝垂桜と大島桜は自宅の庭で、染井吉野は菩提寺の敷地のものを剪定した際に出た枝を譲ってもらった。
切った枝は乾燥しないようにビニールに密封して、休眠から覚めないよう冷蔵庫で保管した。

採取した桜の枝
採取した桜の枝

用意した資材

挿し床は緑枝挿しでの実績から赤玉土を使用。
鉢はおなじく緑枝挿しでの実績からピートポットに、2ℓペットボトルを上下に切って底に穴を空けたものを用意した。
薬剤は発根促進剤ルートンを去年に引き続き使用。
加えて今年は水揚げに植物活力剤メネデールの希釈液を使用し、切り口からの乾燥を防ぐため断面に殺菌癒合材トップジンMペーストを塗った。

 

メネデール 100ml

新品価格
¥290から
(2018/3/10 22:23時点)

挿し穂の準備

適期が来たら保存しておいた枝の加工に入る。
枝を5~6㎝くらいの長さに芽の上で切り分け、上端には乾燥と雑菌の侵入を防ぐためトップジンMペーストを塗っておく。

上端の保護
上端の保護

根元を清潔な刃物で楔形に切る。
加工が終わったら根元をメネデールの希釈液に浸け水揚げする。

挿し穂の加工の様子
挿し穂の加工の様子

メネデールの濃度は500㎖ペットボトルにキャップ半分の量を入れたので、約100倍の規定濃度となる。

メネデールの希釈
メネデールの希釈

挿し床の用意

挿し穂を水揚げしている間に挿し床を用意する。
ペットボトルは半分くらいの深さまで赤玉土を入れた。
ピートポットはよく吸水させ、水を通すようになったら赤玉土を入れる。
どちらも土を入れたら水をかけ、土を湿らせておく。

 

挿し穂を挿す

1時間ほど吸水させたら用意した挿し床に挿してゆく。
挿す前に根元にルートンを付ける。ルートンはアルミホイルで適当な皿を作り、そこに出して使った。

ルートン使用の様子
ルートン使用の様子

挿し終わり、水をやったら作業終了。

挿し木終了後
挿し木終了後

その後の管理

ピートポットは緑枝挿しの成功経験のある北東の軒下へ。
ペットボトルは水やりの回数を抑えるためラップをかけて密閉挿しにし、昨年に染井吉野の緑枝挿しに成功した北東の出窓に置いた。
いずれも朝方のみ直射日光が当たり、一日の大半は明るい日陰となる場所である。
後は乾燥させないように気を付けつつ、発根するのを待つ。

挿し木後のペットボトル
挿し木後のペットボトル

今回の挿し木について

そもそも春挿し(休眠枝挿し)は梅雨挿し(緑枝挿し)に比べて難度が高いらしい。
枝垂桜の発根率も低いこともあって、去年は失敗したのではないかと仮定し、今年は比較的発根しやすかった大島桜と染井吉野も試すことにした。
数カ月後に結果が出たらまたご報告させて頂く。

→その後