桜を交配させる

長寿のエドヒガン系と大島桜を交配させ、染井吉野に近くて長寿の桜を作れないかという考えから、桜を種から育てていることはこれまでに何度か触れてきた。
そのため種の採取から発芽までの育て方の紹介などをしてきたが、「交配させる」の実際の作業内容については詳しく紹介していなかった。
今回は実際にどういったことをしているかを紹介する。

とは言っても難しいことは何もしていない。
目的の品種から花粉を採取し、柱頭に付着させるだけである。
取り組む前に花粉の寿命について軽く調べたことがあるが、桜の花粉がどれくらいの間受粉する能力を保つのか、明確な回答は得られなかった。
とりあえず分かったことは花粉の寿命はほとんどの植物で数日から数十日。また低温で乾燥した状態の方が受粉する能力の低下が少ない。冷凍することで長期保存が可能。といったあたり。
花期が大きく違う花同士では花粉を保存することも考えなくてはならないが、幸いにも目的の品種は花期がある程度重なっていたため、採取した直後に作業が行えた。

 

交配の基本的な手順

 

雌しべと雄しべがはっきりしている花ならば簡単に行える。
以下は植物を交配させるときの基本的な手順となる。

①葯を切り取る

完全に開花する前の蕾を開き、自分の花粉で受粉しないように雄しべの先端の花粉が入っている葯を取り除く。

(画像は自他の花粉が付着しないように室内に置いたので、開花してから取り除いている)

雄しべを取り除いた桜
雄しべを取り除いた桜

②他の花粉の付着を防ぐ

他の花の花粉が付着しないように袋を被せて、雌しべに粘り気が出て受粉可能になるまで待つ。
受粉が可能な期間は花によって違うので、わからない場合は時間をおいて何度か行うと良いかもしれない。

③雌しべに花粉を付着させる

交配させる品種の花粉を付着させる。
葯の開いた雄しべを切り取って使うか、綿棒や筆などに花粉を付けて使う。

切り取った雄しべ
切り取った雄しべ
花粉を付けた綿棒
花粉を付けた綿棒

 

④袋をかけ、実が熟すのを待つ

成功したら実が出来るので、黒く熟すのを待って種を採取し育ててゆく。
(桜の種の育て方については以前の記事を参照)

桜の実
桜の実

以上が雄花と雌花の区別が無い両性花における基本的な交配の手順である。
ただし自分はあくまで趣味でやっているので上記の方法ほど厳密には行っていない。
①の手順については桜は自家不和合性が強く、自家受粉の可能性が低いので行っていない。
また②の手順も桜の受粉は主に虫によって行われるので、風で他の花粉が付く可能性も低いと考えて行わなかった。
実が熟すと鳥に食べられる危険があるので収穫間際には注意が必要だが、④の手順も行わなかった。
確実性は落ちるが、それでもその年の種は明らかに母親と違う形質の葉を持っていたので、成功していたとみなしても良いだろう。
ただ種から育てた桜は花を付けるまでに相応の年数を要するので、趣味で行うにせよ相当気長に待つ覚悟が必要である。