染井吉野の種を育てる

染井吉野に種はできる

 

「染井吉野は不稔性」や「染井吉野に種はできない」という言葉――桜の時期になるとよく耳にするが、これは間違いである。

染井吉野は自家不和合性であり、自家受粉――つまり染井吉野どうしで受粉出来ないだけで、他の種類の桜となら受粉可能だからである。

恐らく挿し木や接ぎ木でないと増やせないということと、周囲に別の種類の桜が無いと実が出来ず、実を目にする機会が少ないことから勘違いされたのだろう。

種が出来ることの証明としては、図鑑などを見ると『衣通姫』、『咲耶姫』など染井吉野の実生から選出された品種があり、その数は100種類以上あるという。

 

と、ここまで知識では知っていたが、あくまで知識のみである。

染井吉野の根元で明らかにこぼれ種から芽吹いたと思われる苗を見つけたこともあるが、それが本当に染井吉野の種の物かは定かではない。

そういうわけで実際に染井吉野を結実させ、種を採取し、芽吹かせるところまでを確認しようというのが今回紹介する試みである。

 

 

今回の種蒔きの方法

 

桜の種蒔きについてこのサイトではこれまで何度か紹介している。

桜を種から育てることを始めたころから発芽率は50%以上あったので、基本はずっとそのやり方である。

  過去の投稿

  →桜を種から育てる 種蒔きの方法へ

  →桜の種の育て方 種蒔き~発芽後~鉢上げへ

  →台木の用意 種蒔きへ

 

実の採取と保存

染井吉野の実

赤くなっている染井吉野の実。

さくらんぼのイメージから熟しているように見えるが、この頃は触るとまだ硬い。

熟すと真っ黒に、柔らかくなる。

指でつぶせるほど柔らかくなったら採取し、果肉をよく洗い落とす。

半日ほど陰干しし、乾きすぎない程度に水気を切る。

密閉できるビニールに入れて冷蔵庫(冷蔵室)で冬まで保存する。

 

種蒔きの準備

明けて元旦。

すっかり冬になったところで蒔く用意を始めた。

染井吉野の種 吸水中

種をぬるま湯に浸し、一日吸水させる。

浸けた時点では浮いた種が一つあったが(上の写真の赤丸内)、翌日には沈んでいたので分けずに蒔くことにした。

種の出来が悪い時は沈まない種が多いが、今年度はほとんどの種が沈んだ。

(袋になにやらごちゃごちゃと書いてあるが、他にも使いまわしているからである)

 

 

蒔き床の用意

使った鉢は挿し木でもお馴染みのピートポット。

植え付け時に土にそのまま埋められるので根を痛めずに済む。

 

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使う用土は小粒の赤玉土。

蒔き床の用意

丸型のポットは底にスリットがあり、土が少しこぼれてしまうのが気になっていたので、今年は粒が大きめの鹿沼土を鉢底石代わりに敷いてみた。

 

蒔き床の用意

赤玉土を入れ、水をたっぷりとかけて土と鉢を湿らせる。

蒔き床の用意

 

 

種蒔き

今年度はあらかじめ穴を空けるのも蒔いた後に覆土するのも面倒なので、種を指で押し込んだ。

深さは種1~2個分。

最後に土を寄せて種を完全に隠し、水をかけて終了。

種蒔き後

右側の7つの鉢が染井吉野。それ以外にも採取した他の種も蒔いている。

 

 

発芽までの管理

過度な乾燥や過湿を避けるために、芽が出るまでは風通しの良い半日陰で管理。

土が乾いたら水をやる。

 

その後

種蒔きから4カ月と少し。

4月11日に3つの発芽を確認した(下の写真の赤丸内)。

染井吉野の種の発芽

2日後には3つとも双葉が開き、本葉の展開が始まる。

発芽した染井吉野の種

4日後には4つ目の発芽を確認。この時点で発芽率は少なくとも50%は越えたことになる。

これを書いている時点ではまだ4つだが、遅い時には5月、さらに遅い時には1年以上かかったこともあるので、発芽率はまだまだ上がる可能性は高いだろう。

 (追記 6月3日に5つ目の発芽を確認した)

 

 

今後は日光に慣れさせつつ肥料を与え始め、ある程度育ったら5~6号の鉢に植え替える。

交配させず自然に出来た種とはいえ、育てれば初めに書いたとおり染井吉野と他の桜が交雑した花が見られるはずである。

早くとも3年ほどかかるが、開花するまで育ててみるつもりでいる。