台木の用意 種蒔き
はじめに
自分は例年、桜の種蒔きは12月に行っている。
桜の種は冬を越えた翌春に発芽するのだが、あまり早い時期に蒔いてしまうと秋ではまだ暖かさが戻ることがあるので、発芽に影響があると思っているからである。
実際にこの方法で発芽率は約65%と半数を超えているので、それなりに安定した方法と言っても差し支えはあるまい。
ではなぜ今回11月に行おうと思ったのかだが、蒔く種の種類が違うのだ。
いつも12月に蒔いているのは新品種の選出を目指して種から育てているエドヒガン系ベニシダレザクラの種。
対して今回の種はオオシマザクラ。育てる目的は接ぎ木の台木用である。
オオシマザクラを増やすには挿し木の方が手軽で多く増やせるので、今回はあくまで実験。失敗しても別に構わない。
さらに理由をつけ加えると、シダレザクラの方は福島県三春町にある『三春滝桜』の接ぎ木苗なので、もともと東北育ちの桜。
オオシマザクラの方は詳しい出自は不明だが、その名に大島とあるように原産地は伊豆大島近辺と言われている桜。温暖な気候で育つ樹木である。
つまりシダレザクラに比べて暑さに慣れているのでは? という想像から、本格的な冬になる前に蒔いてみようと思ったわけだ。
今回の手順
前置きが長くなってしまったが、今回の種蒔きの手順を紹介する。
種の採取
6月中旬に黒く熟した桜の実を収穫する。
桜の実というとサクランボの赤いイメージがあるが、熟した桜の実は黒色になる。
写真の赤丸のような黒くて柔らかいものを採取する。
種の保存
果肉を落とし、よく洗ってから一日陰干しする。
完全に乾燥しないようにビニールにパックし、冷蔵庫で冬まで保管する。
種の選別
冬になったらビニールから取り出し、水に一晩浸けて吸水させる。
この時、水に浮くものは取り除く。
今回は2つ浮いた。
蒔き床の用意
種を蒔く鉢を用意する。
今回は小ぶりなプランターを用意した。
土は赤玉土と腐葉土を7:3で混ぜたもの。去年の植え替えで出た古土を温室の中で日光に曝し殺菌しておいたもの。
種を蒔く時は雑菌や雑草の種の混入を避けるため新品の土を使うのが基本だが、先に述べたように今回はあくまで実験なので古土を再利用することにした。
成功したら1苗ごとに掘り出して鉢上げするので、鉢底石などは使用せず直接土を入れた。
種蒔き
水をかけて土を落ち着かせ、種を埋める穴をほぼ等間隔になるよう空ける。
再び水を与えて土をなじませる。
強い日光が当たって土や種が乾いてしまうのを避けるため、発芽までは日陰にプランターを置く。
乾燥は避ける必要があるが、水分が多すぎても種が腐ってしまう危険があるので、水やりは最小限に止める。
鉢の置き場と管理のコツは挿し木とほぼ同じだが、違うのは水やりを控えめにすることである。
終わりに
同じように管理していても発芽の時期にはバラつきが出る。
そもそもどれくらい発芽するかはまだ分からないが、上手くいけば花が咲くころには芽を出すはずだ。
少なくとも1つぐらいは芽を出すと思うので、その時には続報をお届けしたい。
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