桜の挿し木 赤玉土と鹿沼土の比較
これまで挿し木を紹介する際には決まって赤玉土を使用していた。
それまで使った土の中で一番挿し木の成功率が高く、園芸の基本用土ということもあって植え替え時にも使用しているため常にストックが手元にあったからである。
他に挿し木に使う土として代表的な鹿沼土というものがある。
軽石質で通気性と排水性に優れる、水を含むと鮮やかな黄色になるのが特徴の用土である。
今回は上記の二種類の土で桜を挿し木し、どちらがより成功率が高いかを比較してみた。
今回の作業内容
挿し床に使う鉢は根が突き破って出てくるため発根が分かりやすく、土に還るためそのまま植え付けが出来るピートモスで成形されたポット。
このブログでもたびたび紹介しているお馴染みの品である。
これまでの挿し木の成功実績があるのと、今回は挿し木の状態を調べるのに後から手で簡単に破くことが出来るため選んだ。
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日照や気温などを同条件にするため連結ピートポットの左右に赤玉土・鹿沼土を入れ、水をたっぷりとかけて土とポットに水を吸わせる。
ポットに水が浸み込む間に挿し穂の加工に入る。
今回は代表的な桜の染井吉野と、河津桜の2種類で実験する。
今年伸びた細長い枝を3~4節くらいに切り分け、挿し穂1つにつき葉を2枚にする。
葉を1/3くらいに切る。
根元を斜めに切りもどして水に浸けておく。
ポットに水が十分浸み込んだら、そのまま挿し穂を挿していく。
上の4つのポットが染井吉野。下の2つが河津桜。
比較の為になるべく同じ太さの枝が同数になるように挿した。
挿し終わったら全体に水をかけて土を落ち着かせる。
土の比較なので発根促進剤などの薬剤は未使用である。
鉢は北東向きの軒下に置き、土の乾燥具合を見つつ朝に水をやった。
1ヶ月後
気付けばほぼすべてのポットから長めの根が出ていた。
挿し木に成功したのは確実だったが、挿したすべてが発根しているとは限らないのでそこからしばらく放置することにした。
さらに半月後。
どれだけの挿し穂が発根しているか確かめるためにポットを破いてみた。
込み合っていて画像では分かりづらいが、河津桜は赤玉土・鹿沼土の両方とも挿した全てが発根していた。
染井吉野の方は鹿沼土で1本枯れてしまったものの(写真の赤丸の枝)それ以外はすべて発根していた。
しかし枯れた1本は画像を見てもらえばわかるようにかなり細く短く、そもそも挿し木の成功率が低そうな枝だったので、失敗の原因は挿し穂自体にありそうだ。
結果
今回は薬剤を一切使わずハサミで切って挿しただけだが、ほぼすべての挿し穂が発根した。
結果に大きな偏りがないので、桜の挿し木に使う土は赤玉土・鹿沼土のどちらでも大きな差はないようだ。
過去にバーミキュライトなどで配合された挿し木用の土に薬剤を使って挿したときは全滅したので、(同時に赤玉土に挿した方はすべて発根した)桜の挿し木には赤玉土や鹿沼土のような粒状の土の方が向いているということになる。
もともと桜のような直根性の植物を育てるには土の粒子が集まって粒状になった団粒構造を持つ土が向いているので、挿し木においてもそれは変わらないということだろう。
そして桜の挿し木を成功させるコツは土よりも挿し穂を取る枝の選択や水分の管理、気温や日照の方が重要ということだ。
一般に難しいと言われる桜の挿し木だが、コツをつかむと今回のように簡単に成功するようなので(ただし品種にもよる)、上手くいかない方は色々な条件を試し、自分の環境にあったやり方を見つけて欲しい。
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