春挿し リベンジのその後

桜の春挿し リベンジの結果とその後

2018年の3月上旬に行った春挿しからほぼ2カ月が経過した頃。

シダレザクラとソメイヨシノは枯れてしまい、ペットボトルに残ったのはオオシマザクラわずか1本、それもこのまま枯れてしまうかと半ば諦めていた頃である。

密閉挿しなのをいいことに水もほとんどやらず放置していたのだが、ある時にふと裏返して底を見てみた。

発根している!?

しかも2本、結構な長さの根が出ている。完全に油断していた。

折角発根しているのに、葉が枯れかけているのだ。葉をすべて失えばいずれ苗全体が枯れてしまう。一刻も早く新芽を伸ばさなければ。


鉢上げすることも考えたが、現在の苗の状態では移植に耐えられるかは微妙なところ。

とりあえず肥料を与え、苗の成長を促すことにした。

蒸散を抑えるためのラップは根が出たので取り外し、通気と日当りを優先して屋外へ。

しばらくして芽が伸び出し、新たな葉も展開し始めた。これで一安心である。

 

春挿しの鉢上げ

上記の結果を受けてピートポットに挿した方にも希望が出てきた。

こちらもシダレザクラとソメイヨシノは枯れてしまっていたが、オオシマザクラは4本残っていた。

ペットボトルの発根を発見してから10日後。ついにピートポットから根が出てきた。


1鉢に4本挿していたが、2本残っている鉢と1本残っている鉢があったので、とりあえず1本の鉢を鉢上げすることにした。
ピートポットは土に還るのでそのまま植え付けられるのだが、根の様子が気になったのでポットの側面を破ってみた。

まだまだ頼りなさそうだが、右下へ伸びた根は長く、十分に苗を支えられそうだった。

いつものように基本用土(赤玉土6~7:腐葉土4~3)で、おなじみの6号スリット鉢に植え付ける。

鉢上げ後、1週間以上経過しても葉が萎れず残っているので無事に植え替えできたようだ。

 

とりあえず1つは成功したので、次はもっと思い切りよく取り組める。

というわけで1鉢に2本残った方も鉢上げすることに。


根を切らないよう慎重にポットを破いてゆき、2つに分ける。
双方とも十分に根が出ていた

こちらも基本用土で鉢に植え付ける。

こちらは素焼きの鉢を使用した。

素焼きの鉢は透水性と通気性に優れるため根の生育に良く、栽培に最も適している。

上の写真は右だけ水をたっぷりやってしばらく置いた状態。見てもらうと右の方に水が浸み込んでいるのが分かるだろう。

また鉢の表面から気化熱を奪うため夏場でも鉢内の温度が上がりにくいという利点もある。

ただしその分鉢は乾きやすくなるので、水やりを気を付けなければならない。

 

今回の挑戦では3種の桜を時期をずらして2回、同条件に置いて管理したが、成功したのはオオシマザクラのみとなった。

3種とも緑枝挿しでは薬剤を使わずに発根したことがあるので、挿し木が出来ない品種というわけではない。

特にソメイヨシノは比較的発根しやすい種類に入る。

成功したオオシマザクラと失敗した2種の違いと言えば、まず思いつくのは葉の展開する時期だろうか。

ソメイヨシノとシダレザクラは葉より先に花が咲くが、オオシマザクラは花と葉が同時に展開する。

つまり失敗した2種は葉が伸びるのがより遅い。

成功例に倣うならば、枝の採取と挿す時期を遅らせた方が良いのかもしれないという仮説が成り立つ。

来年度に春挿しを行うならば、その辺りを考慮して行ってみようと思う。

 

結果は1種のみとなったが、ひとまず春挿しで初めての成功を収めることが出来た。

緑枝挿しでは比較的容易に発根する種類も、春挿しでの難易度は遥かに高いということが改めて確認できたわけである。

考えてみればすでに葉が成長した後に行う緑枝挿しと違い、根に加え葉まで枝に残された力のみで成長させようと言うのだから、難易度は上がって当然である。

自分のように実験的に行うならばともかく、桜を増やす目的ならば素直に緑枝挿しを行った方が簡単だということを断っておく。