桜を挿し木で増やす 春挿しの方法

桜の挿し木について

桜を増やすときには桜の種蒔きの時に触れたように基本的にクローン増殖である挿し木や接ぎ木で増やす。

桜にできた種はいわば子供であって、親とは違う遺伝子を持つためである。

なので特定の種類を増やしたい場合は同じ遺伝子を持つクローンを作る必要がある。

クローンを作るというと難しく聞こえるが、園芸の世界では一般的に行われていることで、手順を踏めば科学的な知識が無くても簡単に行うことが出来る。

特に簡単なのは挿し木と呼ばれる方法で、その名の通り木の枝を土に挿し、根を出させて新たな苗を作る方法である。

桜の挿し木が行える時期は一年に二回あり、それぞれ

6月中旬ごろ。梅雨時に行う梅雨挿し、緑枝挿しなどと呼ばれる方法。

3月上旬。休眠中の枝を挿す休眠枝挿し、または春挿しと呼ばれる方法。

がある。

梅雨挿しは実は梅雨以外の季節にも可能で、今年伸びたばかりの枝ならほとんどの種類で可能だが、春挿しは早咲きの品種などの休眠していない枝では出来ない。

梅雨挿しについては家のオオシマザクラとシダレザクラ。双方で成功したことがあるが、シダレザクラの方は発根率がかなり低かった。

それならば春挿しではどれくらい発根するか調べてみよう、というのが今回の挿し木の目的である。

→梅雨挿しの方法はこちら

 

春挿しで必要なもの

桜の枝

前年に伸びた葉芽のある枝。

花芽と葉芽を見分けるのは慣れないと難しいが、とりあえず真っ直ぐにすっと細長く伸びている枝があれば、それを選べばほぼ間違いない。

手元の本の記述によれば、“節分のころに切った枝を土中に埋めておくか、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に貯蔵する”とあるが、今回は一月上旬に剪定した枝を土に埋めておいたものを使用した。

また、試しに当日切ったばかりの枝も使用してみる。

小粒の赤玉土か市販の挿し木用の土。

肥料成分があったり水はけが悪いと腐りやすくなるので、無肥料で清潔。通気性が良いものであることが重要。条件を満たせば庭の土でも構わない。

今回は赤玉土と挿し木用の土の二種類で試してみた。

平鉢や挿し木用のトレーなど、10センチくらいの厚みのもの。

自分が使用したのは植え替える際にそのまま土に植えられるピートポット。

ピートポットは植え替え時に根を痛めないので後の生育が良い。

今回は梅雨挿しの際に成功経験がある角型と、新たに使用する丸型を用意した。

出来ればあった方が良いもの

発根促進剤

桜は発根しにくいものも多いので、ルートンなどの発根促進剤があると成功率が少し上がる。

ルートン

桜の挿し木の方法

挿し穂の準備

保存しておいた枝を5~10センチ、3~5芽くらいに切り分ける。

表面積を増やすため根元を楔形に切り戻す。

断面を痛めないように切れ味が良く清潔な刃物を使うのが重要。

加工が終わったら根元を水に5~10分ほどつけておく。

根元を楔形に切り戻す

 

しばらく水揚げする

挿し床の準備

鉢に用土を入れ、軽く湿らせておく。

ピートポットの場合は土を入れる前によく水を吸わせておく。

用土に挿してゆく

ルートンを使用する時は挿し穂の根元3センチほどを湿らせて薄くまぶす。(説明書をよく読んで使用すること)

切断面を痛めないように棒であらかじめ穴を空け、挿し穂を入れたら土を軽く押さえて埋める。

挿し終わったらたっぷりと水をやる。

ルートンをつけたところ
土に挿したところ

その後の管理

半日ほど日の当たる場所。または明るい日陰に置いておく。

水やりは最初は多めに、徐々に少なめにしていく。

根が出ていない状態でも枝に残された力で芽が少しだけ伸びるが、成長はすぐに止まる。成功するとそこからさらに成長を始める。

挿し木用トレーやピートポットなら根が出たのを目で確認できる。平鉢では2か月ほど枯れずに芽が成長したら成功と思っていいだろう。

徐々に日光に当ててゆき、ある程度大きくなったら苗の大きさに合わせた鉢に植え替える。

あとは鉢植えの桜と同じように管理する。

半日陰に置いて管理

 

方法としては以上だが、品種によって成功率はかなり異なる。

結果が出たらまたご報告しよう。

 参考にした本

サクラ [改訂版] (NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月)

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