桜の芽接ぎ 成功後の管理

芽接ぎのリベンジ

2017年に行った削ぎ芽接ぎが失敗に終わったのは先にお伝えした通り。

準備を整え、改めて挑戦することを宣言した。

そして挑んだ2018年、さらに盾芽接ぎに挑戦した2019年。

両者で成功を収めることが出来た。

10月は芽接ぎを行っていれば、その結果が出ている頃なので、今回は成功した芽接ぎのその後を紹介する。

 

削ぎ芽接ぎの方法のおさらい

削ぎ芽接ぎの概要図

行う時期は8月~9月半ばまで。

増やしたい品種――親木の芽の周囲を削ぎ取り、接ぎ芽を作る。

台木の根元を同じような形に切り取り、接ぎ芽を挿し込んで接ぎ木テープで固定する。

雨が浸み込まないように管理する。

詳しい方法は2017年度の記事『桜を接ぎ木で増やす 削ぎ芽接ぎの方法』を参照して頂きたい。

 

 

芽接ぎの成功後にやったこと

3月になり、接いだ芽が動き出し緑色が見えてきた。

7鉢の8カ所に行い芽が動き出したのは3つ。成功率としては37.5%。

素人のやったことと思えば十分な数字ではなかろうか。

 

ちなみに親木は『挿し木の発根後の管理』で紹介した染井吉野の挿し木苗。

台木は大島桜。『台木の用意 種蒔き』で紹介した実生苗である。

 

失敗の目安に残しておいた葉柄が黒く萎れる(成功した場合は1~3週間後に葉柄がポロっと落ちる)というのがあるが、接ぎ木テープに引っかかっていたのか落ちることは無かった。

黒くなっていたので失敗と思い、引っ張ると抵抗なく取れたので成功していたようだ。

 

この鉢では接ぎ口の上で台木を切り、接いだ品種のみを成長させ、単独の品種として育てることにした。

あまり芽に近い位置で切ると負荷がかかりそうだったので、接ぎ木テープを巻いたまま余裕をもって長めに切っておいた。

切り口には殺菌癒合材のトップジンMペーストを塗って雨水の侵入などによる腐食を防いでおく。

芽よりも上で切り残した部分は枯れてしまうので切り口は塞がらないが、まだ若く細い枝なので接ぎ芽が成長するまでは残しておいても問題ないと判断した。

芽が伸び出したら支柱を添えて、接ぎ口に負担がかからないようにする。

 

一年が経ち十分に成長したところでテープを外し、改めて切り残した部分を切断した。

もちろん切り口には癒合材を塗っておく。

さらに一年後には完全に塞がった。

 

盾芽接ぎの成功後にやったこと

盾芽接ぎのほうは成功後、年が明けた春。芽が動く前の3月下旬には接ぎ口の上で切った。

テープも外してしまっているが、盾芽接ぎは樹皮の内側に芽を差し込んでいるため削ぎ芽接ぎよりも接ぎ口が頑丈なので、このまま育てて芽が伸び出したら支柱を添えた。

写真で見えている接ぎ口の横にある芽は、接いだ芽の成長の邪魔になるので取り除いておいた。

風で倒れた他の苗の下敷きになり折角伸びた芽が曲がるなどしたものの、なんとか枯れることなく剪定跡が塞がるまで育ってくれた。

ちなみに接ぎ口と反対側に伸びている枝は、残しておいた台木の芽が育ったものである。

 

 

切り残しを長めにする場合。芽のすぐ上で切る場合。いずれも切ったのは3月下旬の芽が動き出す時期だったので、しばらくは切り口からかなりの水分がしみ出して来た。

成功か失敗か不安だったので芽の動き出すのを確認してから切ったためだが、冬の休眠期に切っていれば切り口ももっと塞がりやすく樹への負担も少なかったかもしれない。

しかし台木の上部を切らず芽を残しておけば、もし失敗しても台木として再利用が出来るので判断が難しいところではある。

ただ今回紹介した以外に台木上部を切らずに育てている鉢もあるので、急がず成長を待ってから切るのもありかもしれない。