挿し木の発根後の管理

 桜の挿し木に成功したら

これまで桜の春挿し緑枝挿しペットボトル挿し木と何度か挿し木の方法を紹介してきたが、そろそろ成功したという人も出てくるだろうか。

斯くいう自分はと言えば、2017年度は染井吉野の緑枝挿しとペットボトル挿し木、河津桜と枝垂桜の緑枝挿しで成功をおさめた。

桜は全般的に挿し木では増やしづらいが、不可能という訳ではないので、熱意を持って取り組めば一定の成果を得ることが出来る。

特に挿し木は手順さえ踏めば知識や技術がなくとも可能なうえ、一度に多く取り組めるので、桜を増やしたい時に最初に行うにはもってこいである。

 

 

さて、今回は成功した後の話、発根した挿し木をどうするかである。

自分は本格的に挿し木を始めた時に本やウェブサイトで桜の挿し木について調べたのだが、やり方自体は正誤含め色々と出てくるが、その後の管理・育て方についての情報は少なかった。

(余談だが情報が正しいかどうかは、やはり実際に成功した写真を載せているところが信用できると思う)

そこで自分は園芸書などを参考に、少しずつ条件を変えながら試行錯誤を続けている。

正答例となるかはわからないが、去年までの経験から編み出した方法が下記となる。

 

 

発根の確認

まずは挿し木が成功しているかどうかの確認である。大きい鉢に挿していて鉢上げの必要がない場合その後の管理まで読み飛ばしてもらって構わない。

個人的には6号鉢くらいの大きさがあれば、1年目の苗なら十分だと思う。

 

ペットボトルやピートポットでの挿し木は直接目で確認できる。小さい鉢に挿していたらいずれ底から根が出てくるだろうが、不透明の鉢の場合は掘り上げてみないとわからない。

タイミングは挿してから2~3カ月ほど、葉が青々としたままだったら発根している可能性が高い。

ただし発根しかかっている時に掘り上げたり、掘った際に根を切ってしまうと、せっかくの苗を枯らしてしまう危険がある。

また、掘り上げたらすぐに植え付けないと苗が乾燥してしまうので、植え替える用意が済んでから掘るようにする。

 

 

発根した挿し木の鉢上げ

今回鉢上げするのは2017年の5月中旬に挿した染井吉野。1カ月半ほどしてピートポットから根が出てきた。

発根した桜の挿し木
赤丸の所が出てきた根

一つの鉢に2本挿していたのが、どうやら両方発根しているようなので、思い切ってポットを破り苗を分けることにした。(本来ならポットが土に還るので、そのまま鉢に埋める)

発根した桜の挿し木
ポットを破いたところ

取り出してみると両方とも十分に根が出ており、植え替えても問題なさそうだった。

発根した桜の挿し木
挿し木を掘り上げたところ

用意した鉢(使ったのは6号のスリット鉢)の底に鉢底石や大粒赤玉土を敷いて水捌けを図る。

大粒赤玉土を敷いたところ
大粒赤玉土を敷いたところ

配合した用土(今回は小粒の赤玉土6に対して完熟腐葉土4)を入れる。

深さを調整しつつ根を広げて、植えるというよりも埋めるようにする。根が少なく安定しないときは深めに埋めるといいだろう。

根が落ち着くまで肥料は施さないが、根を痛めないピートポットの場合は土に元肥を混ぜておいても構わない。

桜の挿し木の植え付け
深さを調整しつつ鉢に埋める

土を軽く押さえて、ぐらつかないようにする。

終わったら鉢底から流れ出すまでたっぷりと水を与える。

植え付けた桜の挿し木
植え終わったところ

 

 

その後の管理

鉢上げ直後は根が十分に張っていないので、強風などで苗が倒れないよう気を付ける。

また同じ理由で水を十分に吸えないので、いきなり日向には出さない。挿し木をもともと置いていたであろう半日陰に置き、徐々に日光に慣らしてゆく。

挿し木に限らず、桜の鉢植えは梅雨明け~9月半ば辺りまでは強い西日を避けられる場所に置くと良い。

1~2週間して根が落ち着いたら肥料を与え始める。リンが多めの緩効性肥料を置き肥するか、幼苗用に薄めた液体肥料を10日に一度ほど、または併用する。ただし濃すぎる肥料は根を痛めるので必ず記載されている規定量を守る。

芽が伸び出し、背が高くなってきたら倒れないように支柱を添える。

真夏を過ぎたら十分に光合成が出来るように風通しの良い日向に置き、冬を安心して越せるよう苗に力を蓄えさせる。

紅葉し始めたら水やりを控えめにし、落葉中は月2回ほど、鉢を乾燥させない程度にする。

冬の間も日向に置き、枝が乱雑に伸びているようなら剪定で整えるのもいい。

成長度合いにもよるが、鉢に対して大きくなり過ぎたら2月下旬から3月上旬の頃に大きい鉢に植え替える。

順調に冬を越せたら、春には再び葉を茂らせる。

 

このような流れである程度大きく育てたら、通常の鉢植えとして育てるか、庭に定植してさらに大きくするかである。

ただし種類のほとんどが落葉高木である桜は大きく育ちすぎるし、花びらや落ち葉や集まる害虫によるトラブルも考えられるので、鉢植えでコンパクトに仕立てて楽しむのも一興である。

 

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