肥料について ~成分と量
桜に与える肥料について
植物は自らの体を作る炭素などの物質を、光合成で空気中から取り出すことが出来る。
それ以外にも成長の為に必要な栄養素を根から吸収するのだが、特に消費量が多い窒素、リン酸、カリの三つを肥料の三大要素という。
窒素
窒素は葉や茎の成長に必要な栄養素で葉肥とも呼ばれる。
多すぎると幹や枝が過剰に成長した『徒長』と呼ばれる状態になり、組織が軟弱になるため病気や害虫の被害にあいやすくなる。
また葉が変形してカップ状に丸まるなどの症状がある。
逆に不足すると新芽の数が減り、枝葉が伸びなくなる。
リン酸
リン酸は花を咲かせたり実をつけるのを促す働きがあり花肥、実肥とも呼ばれる。
過剰による生育障害は出づらいが、土壌に残留、蓄積される恐れがあるので、やはりやり過ぎは禁物である。
少ないと花付きが悪くなり、実を付けなくなる。
カリ
カリ(カリウム)は根や茎を丈夫にし、植物に抵抗力をつける働きがある。特に根の発達を促すため根肥とも呼ばれる。
多すぎるとマグネシウム、カルシウムなどの他の栄養素の吸収の妨げになる。
不足すると植物は抵抗力が弱まり、病害虫や乾燥、寒さなどのストレスに弱くなる。
植物に必要な成分は他にもカルシウム、マグネシウム、硫黄などや、鉄や銅などの微量要素がある。
三大要素に比べると必要量は少ないが、いずれも植物には欠かせない成分である。
一番悩ましいのは施す量である。
肥料というとついつい大量にあげたくなるが、多すぎると浸透圧の関係で根から水を奪ってしまい、「根焼け」という状態になってしまう。
また過剰に施されると、お互いの働きや吸収を阻害してしまう栄養素もあるので、必要な成分を必要なだけ与えることが理想である。
そうはいっても一つの樹に対して、土壌に必要な成分を正確に把握するのは専門家でも難しい。
樹木に影響を与える要因は日照、酸性度、土壌環境など多岐にわたり、それらが影響を及ぼし合うためである。
なので失敗をしないためには、最初から三要素がバランスよく配合されている肥料を、様子を見ながら少量ずつ与えることである。
寒肥には効果が緩やかな緩効性の肥料。
成分は窒素、リン酸、カリの配合が8-8-8のもの。比率が等しいので水平型という。
またはリン酸が窒素やカリの二倍ほどの比率(例3-7-4など)の山型の物が適する。
量に関しては肥料によって変わってくるので、パッケージの裏に書いてあることを参考にする。
庭植えの目安は、樹が若いうちは一本につき100~200g。
成木は一本につき1㎏ほど。
いずれもあくまで目安なので、日頃からよく樹を観察し、必要に応じて増減させる。
何度でも言うが、多すぎる肥料は毒にしかならず、特に根を痛めると場合によっては致命的なダメージになる。
特に科学的に合成された化成肥料は扱いが難しいので、加減がわからないときは有機物から作られた有機肥料を主体で使うとよい。
また、肥料を生かすための土壌作りも合わせて重要である。
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