桜の実生苗の鉢上げ

発芽した大島桜

台木用に育てようと去年の11月に蒔いた大島桜の種が無事発芽した。
発芽を確認した時期は住んでいる地方の開花宣言とほぼ同時、蒔いた5つ全てが2日と開けずに芽を出した。
小さいプランターに蒔いたので、5本すべての苗を台木に使えるまで大きく育てるには個別に植え替えてやらねばならない。
今回は幼苗を掘り上げて大きな鉢に植え替える、鉢上げの作業の様子を紹介する。

鉢上げの時期

苗は発芽したら日当りの良い場所に移して育てる。
鉢上げは本葉が3~4枚になった頃に行う。
あまり大きくなってから掘り上げると根を痛めやすいので注意する。
庭に直接蒔いた場合や、初めから大きな鉢に蒔いたときには無理に行う必要はない。

鉢上げ時期を迎えた実生苗
鉢上げ時期を迎えた実生苗

成長して隣の苗との間隔が密になり過ぎている。
大きくするには1本に間引くか、個別の鉢に分ける。

用意するもの

用土
小粒の赤玉土を6~7に対して腐葉土を4~3の割合で混ぜた基本用土。
作業を素早く行うために、苗を掘り上げる前に混ぜておく。
根を痛めないように肥料は入れないでおく。


直径と深さがほぼ同じ普通鉢。
桜の苗を育てるなら一年目は6号くらいのサイズが適当。市販の桜のポット苗も大抵はこのサイズ。
ちなみに鉢のサイズは1号につき3センチ直径が大きくなるので、6号は18センチほど。

鉢底石か大粒赤玉土
水捌けを図るために鉢底に敷く。
鉢底石は洗って繰り返し使える。大粒赤玉土は植え替えるときに根に絡まっていても外さなくても良いなど、それぞれに利点がある。

その他
用土を混合するための容器(バケツなど)や苗を掘り上げるためのスコップなど。

作業の様子

用意した鉢に鉢底石か大粒の赤玉土などを敷く。
今回は買い置きの量の問題で2つは鉢底石、3つは大粒赤玉土を使用した。

鉢底石を敷いたところ

混合しておいた用土をあらかじめ少し入れておくと、後の作業が素早く行える。

土を少し入れたところ

根の張っている範囲を見計らってスコップの刃を入れ、苗をすくい取るように掘り出す。

スコップの刃を入れたところ

根が乾燥して傷まないように、直射日光を避け素早く鉢へ移す。

実生苗を掘り上げたところ

深さを調整しながら用土を足し、根の隙間まで行き渡るように詰めてゆく。

実生苗を鉢に移したところ

土を入れ終わったら鉢底から流れ出るまでたっぷりと水をやる。

土を入れ終えたところ

その後の管理

鉢上げを行うと少なからず根を痛めるのと、鉢内の環境が変わることで水分の吸収と消費のバランスが変わる。
水不足による乾燥を避けるため半日陰に鉢を置く。
また水やりも過湿を避けるために、乾燥しない程度に控える。
1週間ほどして根が馴染んだら日向に戻し、肥料を与え始める。

鉢上げ1週間後の苗
鉢上げ1週間後の苗

新芽の成長が続いているので、無事に成功したようだ。
この後は元肥を与え、乾燥に注意しながら日向で育てるが、真夏には強い西日を避けられる場所に置く。
これからの時期は新芽にアブラムシが発生したり、毛虫による食害が起こりやすいので、スプレータイプの殺虫剤を1つ持っておくと便利である。