桜の種の育て方 種蒔き~発芽後~鉢上げ
桜の種蒔き 2016年度編
自分は桜の新品種の選出を目指して桜を種から育てているわけだが、その第一弾が2016年度の種である。
自然に出来た種の2015年度と違い、2016年はエドヒガン系ベニシダレザクラの花にオオシマザクラの花粉を綿棒で付着させた。うまくいっていれば将来、どこかしら変わった桜が咲くかもしれない。
2016年 種蒔きの方法
作業の流れは2015年の種蒔きと同様。
違うところは、2016年は植え替え時に根を痛めるのを防ぐため、ピートポットを使用したこと。
種の採取と保存方法
黒く柔らかく熟した実を木から採取し、よく洗って発芽抑制成分を含んでいる果肉を落とす。濡れたままだとカビなどの原因となるので、一日ほど陰干しして軽く乾かす。
ビニール袋にパックして、冬まで冷蔵庫で保管する。乾燥させないように注意。
庭などに埋めて保管する方法も試したが、紛失したり過湿によって腐らせてしまう危険があるので、冷蔵庫で保管した方が管理が楽だった。
12月半ばになったら取り出して一晩水につけ給水させる。このとき水に浮く種は正常に育つ可能性が低いので取り除く。
その後、種を鉢か庭に蒔く。
水やりの手間などがかかるが、管理のしやすさを考えて、自分はもっぱら鉢植えで育てている。
種蒔きのやり方
種を蒔く鉢と土が2015年と違うやり方となる。
ピートポットの準備
ピートポットは完全に乾燥すると水を吸いづらくなるので、使う前に十分水を吸わせておく。
用土を入れる
種蒔きには新しく無肥料で清潔な土を使うのが基本。
肥料成分があると腐りやすくなったりカビが生えたりするので、避けた方がいい。古い土は雑草の種や細菌が含まれていたりするので、新しい土を袋から出してそのまま使うようにする。
2016年で使ったのは種蒔き・挿し木用の培養土。
鉢に入れ、土を湿らせる。
種を蒔く
種を土の上に置き、乾燥を避けるために土を薄くかける。覆土の厚さは種1~2個分ほど。
水を与える
水を優しくかけて土を落ち着かせる。
強い水流では土が流れてしまうので、霧状に噴霧するか、底面給水で湿らせる程度にする。
発芽までの管理
発芽には適した温度、酸素、光、水分が必要になる。
強い日光に曝して用土が乾くと水分が不足し、かえって発芽が遅れる可能性がある。とくに桜の種は乾燥を嫌うので、発芽するまでは風通しの良い明るい日陰で管理する。
用土が乾いてきたら上記の要領で水を与えるが、水分が多すぎると種が腐ってしまう可能性があるので過湿にも注意する。
発芽後の管理
桜の開花宣言が出るころ、桜の種の活動も始まる。
早いものでは芽を出し始める。
気温や個体差などで発芽にはかなりのばらつきが出るので、気長に待つ。
苗を置く場所
発芽したら日当たりの良い場所に移す。
いつまでも日が当たらないと、もやしのように白くひょろ長い芽になってしまう。
肥料
双葉が開いたらそろそろ肥料を与え始める。双葉のうちは規定の10倍ほどに薄めて施し、本葉が開いたら既定の濃度にする。頻度は2週間に1回が目安。
肥料を与えることは幼い苗に少なからず負担をかけるので、くれぐれも濃度の濃い肥料や与え過ぎには注意する。
リスクを考えると、ある程度成長するまで肥料を控えるのも一つの手である。
間引き
一つの鉢に複数の種が蒔いてある場合は、込み合った芽を間引く。
早めに行わないと栄養や光が行き渡らず成長が阻害されるので、苗の大きさに合わせて間引き、間隔を空ける。
鉢上げ
本葉が4~6枚になったら鉢上げする。手順や用土などは桜の植え替えや桜の鉢上げと同様だが、鉢植えと違い根鉢を崩さず、根を痛めないように細心の注意を払う。肥料を与えるのは根が落ち着くまで、2週間ほど待ってから。(桜の実生苗の鉢上げ参照)
鉢の大きさは苗の大きさにもよるが、自分の場合は2015年に蒔いたシダレザクラの実生苗を6号鉢で育てた。
土は園芸用の培養土などでもよいが桜の根の性質上、赤玉土などの団粒構造を持った土の方が根の張りが良い。
ピートポットの鉢上げ
2016年の種蒔きはピートポットに蒔いたので、そのまま土に埋められる。
根がポットを突き破って出てくるか、隙間から根が見え始めたら鉢上げの適期である。
鉢底にゴロ土か鉢底石を敷いて水捌けを図る
用土(今回は赤玉土6.5に対して完熟腐葉土3.5)を深さを調整しつつ入れ、ポットを埋め、たっぷりと水をやる。
その後の管理
その後は5月の半ばから追肥として、2000倍に薄めた液体肥料を10日に一度ほどの割合で与えてゆく。
高く伸びてきたら倒れないよう支柱を添え、麻ひもなどで誘引してやる。
日当りがいい場所に置くのが基本だが、真夏には建物の東側など強い西日を避けられる場所に置く。
注意すること
新芽は柔らかく、害虫の恰好の餌食となる。
発芽したばかりの苗には致命傷となるので、鉢の周囲に雑草を蔓延らせない。長く効果のある浸透移行性の薬剤を散布するなど、日頃から防除に努める。
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