日本縦断自転車旅行記 あとがき

最後に

改めて日本縦断自転車旅行、もとい『自作自転車で行く日本縦断桜前線を追いかける旅』を振り返って。

  

 

佐多岬
本土最南端 佐多岬

九州

鹿児島~宮崎~熊本~長崎~佐賀~福岡

旅の始まり。

まだ体が出来ていない時期だったので、走っていて一番辛かった時期。

しかし苦労した分走った道や、泊まった場所などの印象が強く残っている。

体が慣れてくるころには体重が10キロ近く増え、特に太腿が二回り以上太くなっていった。

また、本州到達前にネットカフェを利用することを覚えたので、その後の旅がだいぶ楽になった。

母智丘公園
宮崎県 母智丘公園
眼鏡橋
長崎県 眼鏡橋

 

中国

山口~広島~岡山

この辺りまで来ると体が出来てきたことと、道の選び方や宿泊地の探し方など、旅に慣れてきた分その時その時の印象が薄れてくる。

道の印象は薄れたが、逆に厳島神社や原爆ドーム。しまなみ海道などの有名なスポットの記憶が目立つ。

特にルートそのものが有名なしまなみ海道は、思っていたよりもアップダウンが激しかったこともあり印象が強い。

厳島神社
広島県 厳島神社
しまなみ海道
しまなみ海道 多々羅大橋 

 

近畿

兵庫~大阪~京都~滋賀

九州の福岡などもそうだったが、総じて都市部は自転車には厳しい場所。人や車が多いので気を使うし、信号でひとたび停止すると重い旅行車は再発進が辛い。

大阪は言わずもがな、自転車が有用な移動手段との噂を聞いていた京都も、意外と起伏があったり自動車専用道があったりと苦労した。おそらく信号が多くて交差点が多いうえ人通りが多いので、車よりもマシという意味だったのだろう。実際観光地で渋滞や駐車場など気にせず動き回れるのは大きい。

仁和寺
京都府 仁和寺
海津大崎
滋賀県 海津大崎

 

東海

岐阜~愛知~静岡

東海・関東の辺りは桜の時期を過ぎていたのでほとんど素通りした。

辛かったのは静岡での山越え、特に熱海付近。桜の時期が過ぎているというのはそれだけ気温が上がっているということなので、それもあって特に辛く感じたのかもしれない。

ただでさえ重い車体が、下りで60キロ近い速度にまで上がったので、この時はディスクブレーキにしておいてよかったとつくづく思った。

浅間大社 湧玉池
静岡県 浅間大社 湧玉池

 

関東

神奈川~東京~埼玉~茨城~栃木

神奈川の江の島・鎌倉は季節に関係なく見たかった場所なので、そこには立ち寄った。

これまでの経験から、都心部に自転車で行ったらどうなるかは目に見えていたので、都心を迂回して東北へ抜けた。

鎌倉大仏
神奈川県 高徳院 鎌倉大仏

 

東北

福島~宮城~岩手~青森

山ばかりかと思いきや、国道4号沿いはそうでもない。割と快適に青森まで行けた。

桜の名所の本命。福島の三春滝桜(ただし滝桜自体は散り始め)周辺や青森県の弘前城に開花中に辿り着けたので、それだけでこの旅の目的の半分は果たしたと言っても過言ではない。

ここまで来ると夜の冷え込みが厳しくなってくる。

三春滝桜
福島県 三春滝桜
弘前城
青森県 弘前城

 

北海道

ツーリングの聖地。とにかく走りやすい。

景色は広大。信号は少なく、走っていて楽しい土地。とにかく広いので補給の機会は逃さないように。またキャンプ場も多く、宿泊地も探しやすい。

残念なのは日本最北の地というだけあって、染井吉野が少ないこと。北海道で桜と言えば耐寒性の強い蝦夷山桜(大山桜)がほとんどである。

宗谷岬
本土最北端 宗谷岬
サロベツ原野
サロベツ原野

  

 

改めて感じたのは、日本列島は狭いようで広く、広いようで狭いということ。

所々で海を渡るために船を使ったものの、ほぼ人力のみで本土最南端から本土最北端まで走破できるくらいだが、それでも各地で気候が大きく違った。

たかだか自転車で移動できる距離とはいえ、季節が過ぎるほど寒くなっていったのは中々ない体験だった。

体験とはその身をもって経験することだが、まさに各地での経験はその身に染み付いている。

有名な場所を多く回ったので、旅行番組などで行った場所が紹介されていると、自らの足で回った場所と誇らしく思える。

今にして思えばよくやったと半ば他人事のように思えるが、本当に貴重な体験をした。

人生でこんな無茶が出来る時期は若いうちか、年老いてからか、どちらにせよかなり限られるだろう。

もしも自転車旅行に興味があって、これを読んでくれている人。または何か大きなことに挑戦しようという人いう人がいるのならば、経験者として送りたい言葉は『迷ったらとりあえずやってみろ』である。

やる気さえ失わなければ、大抵のことは何とかなるものだ。

この記録がなにか、他者の励みや参考になるのならば、それがまた新たな経験を生むならば。それを理想として旅行記を閉じよう。