日本縦断自転車旅行記 序文
自転車旅行の概要
2013年の春、桜の開花する時期のことである
私は自転車にキャンプ用具一式を積み込み、日本を九州から北海道まで縦断するという旅を試みた。
正式には『自作自転車で行く日本縦断桜前線を追いかける旅』と称し、
自分でパーツを選び組み立てた自転車で、本土最南端佐多岬から本土最北端宗谷岬まで桜前線に合わせて北上していくというものである。
結果を先に言うと、この旅はほぼ計画通りに無事に終了することが出来た。
一度は行ってみたかった桜の名所。青森県の弘前城や、日本最大桜の一つ『三春滝桜』の開花時期にうまく到達できたし、病気やケガなどのトラブルもなく家に帰りつくことが出来た。
総走行距離は5000キロを越え
日数は走り始めてから72日間
今となっては、我ながらよくやったと思う。
実際にやった自分が言うのだから間違いないことだが、自転車で九州から北海道まで走ること自体の難易度はそれほど高くはない。
難しいのはそれ以外の、予算だとか余暇だとかの要因の方が大きいと思う。
何よりも、それをやろうと思いつくこと自体がまれであろう。
総じて誰でも出来ることではない。
そういう意味でもとても貴重な体験をすることが出来た。
そしてその貴重な実体験をまとめてみようと思い立ち、ここにそれを記していこうと思う。
そもそもこの旅を思い立ったきっかけは、もともとポタリングが趣味だったことが大きい。
ポタリングとは地図など持たず明確な目的地もなく、思いつくまま気ままに自転車やオートバイで走り回ること――簡単に言えば自転車散歩である。
もちろん車やバイクがあればもっと長い距離を楽に移動できることは明白である。
しかし、そうなれば当然のことながら通れる場所は限定される。
その点自転車であれば、人が一人やっと通れるような細い道でもハンドルの幅さえあれば通ることができるし、段差や階段などであっても担ぎ上げて乗り越えられる。
車に自転車を積んで回ることも考えたが、これは一人旅である。それではどうしても走った後に車に戻る必要が出てくる。
自転車とこの身一つであれば気軽に立ち止まったり寄り道したり、風景を見ることも出来るし、もし道に迷っても引き返すのも簡単だ。
何より動力は人力のみである。ガソリン代は一切かからないし、ガス欠で動けなくなる心配もない。
自分のペースで自由に観光できるのはこの旅の趣旨にも合っている。
そして私は自転車店でアルバイトをしながら旅行の資金と自転車に関する知識と必要なパーツを集め始め、2年半後。
ついに旅行の準備を本格的に始めたのである。
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