日本縦断自転車旅行記 計画編

まずはルート設定である。

日本縦断と銘打つわけだから、最南端と最北端は最低限押さえておきたい。

沖縄地方を除いたのは渡航が面倒だというのもあるが、沖縄の桜の名所で多く栽培されているのは『カンヒザクラ(寒緋桜)』別名『ヒカンザクラ(緋寒桜)』という種類。

濃い赤色の釣り鐘型の花をつける桜で、本土で一般的にイメージされる桜とは外観が大きく異なる種類である。

対して自分が好きな桜は『エドヒガン(江戸彼岸)』系の桜

春には葉よりも先に花芽が伸び出し、花を咲かせた後から枝葉が伸び出す種類である。

この種類は『カンヒザクラ』と違い沖縄地方での栽培が難しいらしい。

加えて開花時期も大きく異なるので、効率的に回ることは無理だと判断したのである。

同じく効率と開花時期を考えて四国地方もカットすることにした。

 

スタート地点へは比較的簡単に行くことが出来た。

調べてみると、最南端の佐多岬から直線距離で60キロほどの鹿児島県の志布志市へ大阪からのフェリー便があるのだ。

自分が考えたルートはまず大阪港からフェリーで志布志港へ。

そこからいったん南下し九州最南端佐多岬を目指す。

そして最南端から改めて北へ向かうという順番である。

なにぶん初めて尽くしの旅である。

実際にやってみて予想外のトラブルが起こるかもしれない。

走り始めてやっぱり体力的に無理となるかもしれない。

そういう場合は志布志港に引き返せばフェリーで本州へ戻れるというわけである。

またペース配分も実際に走ってみないとわからなかった。

走行ペースは平地ならば荷物を積んでいようとそれほど変わらない。坂はきつくなったら降りて押して行けばいい。

ただそれを食事の用意やテントの設置、撤収作業。買い物や入浴、洗濯などの作業を一人でこなし、さらに観光をしながら、一日でどれだけ行動時間がとれるか。ということである。

また食費などの生活費もどれくらいになるのか未知数であった。

何より第一の目的の桜の開花ペースに本当について行けるか、である。

なのでとにかくまずは始めてみて、改めてコースを決めることにした。

実際はなんとか一度の旅で北海道までそれなりに観光しつつたどり着けたが、場合によっては途中で切り上げることも考えていた。

旅を一度で終えようとせずに地方ごとに分割して回るとか、フェリーでショートカットしてペースを桜前線に合わせるという選択肢もある。

正確なルートは走りながら天候や開花状況に合わせてその都度決めていった。

臨機応変。悪く言えばぶっつけ本番である。